リンゴのお話

当園責任者が集めてきた、『リンゴよもやま話』です。

日本人とリンゴ

日本では1872年(明治5年)からリンゴの栽培が始まりました。         
北海道は、それより遅れること20年、1892年(明治25年)より栽培が始まりました。        
以来、日本人とリンゴの付き合いは、140年以上も続いている訳です。

リンゴの名前
紅魁(ベニサキガケ)、紅絞(ベニシボリ)、倭錦(ヤマトニシキ)、柳玉(リュウギョク)、祝、旭、紅玉、スターキングデリシャス、印度、国光、王鈴、恵、世界一、つがる、ジョナゴールド、陸奥、ふじ、王林、北斗等これら全てリンゴの名前です。これまで、国内で育成された品種は、1,000種前後あるといわれています。
その中でも、日本で育成された「ふじ」の系統は、国内は勿論世界での生産量NO,1になっています。


リンゴの歌
「りんごの花びらが 風に散ったよな」 りんご追分 美空ひばり            
「赤いりんごにくちびる寄せて 黙って見ている青い空」 りんごの唄 並木路子           
その昔、リンゴを題材にした名曲が数多くありました。若い歌手の皆様、リンゴをテーマに1曲いかがですか?
せめてカバーをして頂きたいものです。

地図のマーク
地図の表記で果樹園のマークを憶えていますか。
円の上に短い棒が一本。
りんごと思われる、いやリンゴに違いないこのマークこそ、果樹園を代表する果物といえます。


マッキントッシュ
北米で人気の品種「マッキントッシュレッド」は、日本でも昔から栽培され独特の香りと酸味が人気の「旭」です。
コンピューター会社「Apple」のパソコンの愛称「Macintosh」そしてトレードマークのリンゴは「旭」をイメージしたものです。

リンゴの味
リンゴの甘味は、ショ糖、ブドウ糖、果糖、ソルビトールです。
酸味は、大部分がリンゴ酸、わずかにクエン酸が入っています。甘味、酸味の割合により各品種の味が決まります。
昔のリンゴは、甘味の割りに酸味もありました。時代の変化と共に嗜好に合わせた味への品種改良が進み現在の品種になっています。
そして、品種改良は現在も進行形です。収穫したリンゴの味を、出来るだけ長く持たせるには、温度が0~5℃、湿度が85~90%なのです。
家庭では冷蔵庫が一番ですが入り切らない場合出来るだけ冷暗所に貯蔵して下さい。 


蜜入りリンゴ
リンゴの中に蜜が入っていると、とてもおいしそうに感じるものです。        
蜜の正体は、糖質のソルビトール。でも糖度は低く、蜜の部分だけを食べてみると、ほとんど甘さを感じません。
本来、葉の光合成により作られた炭水化物が、ソルビトールの形で果実内に運ばれ分解されるのですが、そのまま蓄積され蜜のようになります。
品種による性格のようなもので、ひめかみ、紅将軍等には多く入り、まったく入らない品種もたくさんあります。

リンゴにワックス
リンゴにワックスをかけていると思っている人はいませんか。
国内で生産されるリンゴに、ワックスをかけている生産者はいません。
「脂上がり」と呼ばれるこの現象、品種により差はありますが特につがるの系統に多く見られます。
これはリンゴが果実から水分の蒸散を防ごうとして生じます。
ところでこの油、大豆油の主成分でもあるリノール酸やオレイン酸で、立派な植物油なのです。
「脂上がり」の始まりは食べ頃、進みすぎると過熟気味です。購入するとき、食べるときの目安にしてください。


サンリンゴ
リンゴの栽培方法は、品種にもよりますが1果ずつ袋をかける有袋栽培と全く袋をかけない無袋栽培の二通りがあります。
スーパーの売場で「サンつがる」「サンふじ」のように、品種名の前に「サン」がつくものは無袋で栽培されたものです。
色、形なら有袋、味とリンゴの日持ちについては無袋の方に軍配が上がります。
当園では味を優先していますので、ほとんどの品種を無袋で栽培しています。

今城養蜂店
地元深川でハチミツを生産、販売している店です。
リンゴはほとんどの品種が自家受粉をしません。つまり品種の違うオシベとメシベにより初めて交配が可能になるのです。
5月中旬頃、リンゴの開花時期になるとどこからともなくミツバチが飛び交います。
当園から1キロほど離れた林の中に蜂の巣箱がいくつも置かれています。
リンゴの花から花へ、蜜を集めながら一生懸命働いていたミツバチは、今城養蜂店さんのミツバチでした。
果樹農家と養蜂家のコラボにより「リンゴ」と「ハチミツ」が生産されています。


「リンゴ」と「ハチミツ」
カレーのCMではなく、ハチミツの話です。
国内で生産されているハチミツでは「レンゲ」「アカシヤ」などの表示をよく目にします。
変わり種として「ソバ」の花から採取した黒いハチミツ。そしてリンゴの花から採取したハチミツは、リンゴの花の甘い香りがします。
スーパーで手に入れることは難しいですが、札幌等の都会ではハチミツ専門店があり陳列してあります。

リンゴの赤い色
最近では良く耳にする、アントシアニン色素による赤い色なのです。      
大きく3つの条件が必要で、果実に糖分が蓄積されること、太陽光線、そして最低気温が17~18℃以下になると着色が進みます。
秋になると、木の葉が紅葉するメカニズムと同じことなのです。気象条件によって、左右されることが多いのです。
近年の温暖化等により、品種によっては着色が悪くなる傾向もあり、赤く着色しやすい品種へ改良されつつあります。


葉摘み
リンゴの収穫1ヶ月くらい前になると、リンゴに日陰を作る葉を取る「葉摘み」「葉むしり」という作業を行います。
赤いリンゴを生産するための作業ですが、摘み過ぎると食味が若干落ちます。
最近では「葉取らずリンゴ」として販売している農家もいます。
当園では、オーナーさんの木はほとんど葉を取りませんが、販売用は少し取っています。
貴方なら、見た目と味とどちらを選びますか。

農薬散布
リンゴ1個を作るのに、大体50枚前後の葉が必要といわれています。
葉が行う光合成により、リンゴ(種子)に養分が送られます。美味しいリンゴを作るために農薬散布を行いますが、主体は、葉を病害虫から守るためなのです。
当園では1シーズン8回の散布を行い、プラス「つがる」のみ収穫前の落下を防ぐストッポール(落下防止剤)を使用しています。


北海道のリンゴと本州のリンゴ
北海道は本州に比べ冷涼なため、病害虫の発生が少ないのです。
そのため通常本州では、10アールに対し約600リットルの農薬散布を必要としますが、北海道では350リットル位で、散布回数も量も3~4割前後少ないのです。

除草
リンゴ園の管理作業の中で、除草を1シーズン4~6回行います。
草の成長は早く、アッと言う間にリンゴ畑が草畑になってしまいます。
木の根元周辺は、機械では刈れないので除草剤散布が一般的な方法ですが、当園では薬剤に頼らず、人力による作業を行っています。
薬によって枯らしてしまうのではなく、刈り取って土に戻してあげるのが目的です。
夏の暑い時期は大変な作業ですが「自然との共生」を念頭に汗を流しています。


エコファーマー
「持続的で環境にやさしい農業」をテーマに農林水産省が策定し、都道府県知事が農業者を認定する制度です。
内容は、堆肥による土作り、有機肥料と化学肥料との使用バランス、除草剤を使用しない等、農薬使用の低減を一体的に行う農業生産方法です。
当ファームは平成18年4月に北海道知事より「エコファーマー」の認定を受けました。

リンゴの木
1年生の苗木を植えると、1年目、2年目で花をつける事がありますが余り大きなリンゴにはなりません。木に、まだ力が足りないからです。
農家は、通常3年目までほとんど花は取ってしまい、4~5年目位から初めてリンゴをつけ始めます。
そして、わい果樹(接木した木)の場合20年前後で更新(植え替え)をしていきます。


リンゴの栄養
水分が85%で、糖質、食物せんい、カリウムを多く含みます。
リンゴに含まれる食物せんいには、水溶性せんいと粗せんいがあり、整腸作用はもちろん、下痢にも便秘にも効果があります。
カリウムには血圧を下げる働きがあり、リンゴ酸は消化吸収を助け疲労回復にも効果があります。
もし、すりおろしリンゴで食べるのでしたら、リンゴ酸を壊さないためにプラスチックかセラミックのおろし器を使用してください。
リンゴを調理するのでしたら、カリウムは水に溶けやすいので、調理法を工夫しましょう。

赤いリンゴを丸かじり
リンゴ栽培に必要な作業のほとんどが、機械ではなく手作業なのです。
イギリスのことわざに「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」と言うのがありますが、手間をかけても、そんなリンゴを作り続けたいと思います。
そして皆様に、喜んで「赤いリンゴを丸かじり」して頂きたいものです。